1-4-2 相場理論による分析

テクニカル分析の種類

テクニカル分析には様々な分析手法があります。色々ありすぎるので全てをマスターしよう(取り入れよう)とせず、自分が理解しやすく、相場に合っている(ちゃんと機能している)手法を選択することが重要です。

代表的なテクニカル分析手法は以下のとおり6種です。

・マルチタイムフレーム分析
・相場理論・法則
・ライン(水平線・斜め線・垂直線)
・チャートパターン
・ローソク足パターン
・インジケータ―

これらテクニカル分析手法を用い、以下のように「相場環境の認識(環境認識)」と「売買ポイント(トリガ)の決定」を行います。

<環境認識>
売買の可否や売買方向、売買が集中しているポイントを確認し、シナリオやトレード戦略を立てます。

<トリガ>
環境認識結果から、エントリーポイントやイグジットポイント(利食い・損切りの値幅)を決めます。

世界中のトレーダーは、この様々なテクニカル分析を上手に利用することで利益を得ています。
基本的には勝ちそうな(確率がより高い)「方向」と「値幅」をテクニカル分析によって確認し、それに則りトレードすることで利益を積み上げていきます。

本記事では、上記テクニカル分析手法のうち、「マルチタイムフレーム分析」と「相場理論・法則」について概要を説明します。
使い方などの詳細やその他のテクニカル分析手法は別の記事で適宜説明していきます。

マルチタイムフレーム分析

概要

これは必須のテクニカル分析です。
複数の時間足のチャートを分析することで、より精度良く「方向」と「値幅」についてのシナリオやトレード戦略を立てることができます。

マルチタイムフレーム分析は、テクニカル分析というよりは、その前段の「あり方」といった方が正しいでしょうか。分析手法自体は次の項以降で説明していきますが、その分析手法を複数の時間足で行い、より精度を高めましょう!的な意味合いでの「マルチタイムフレーム分析」なので。

例えば、私はデイトレーダーなので、メインは5分足でトレードしています。
と一言で話しますが、実は以下のように複数のチャート(時間足)を見ています。

環境認識用チャート(環境認識足)

まずは環境認識用のチャート(時間足)で相場の傾向を把握し、シナリオやトレード戦略を立てます。
私は4時間足、1時間足、15分足を使い、各時間足の「トレンド(方向)」と「ボラティリティ(レートの変動幅・変動率)」を把握し、シナリオ(今後どう動くかの予測)やトレード戦略を立てています。
トレード戦略とは、どの「方向」にどれくらいの「値幅」を取りに行くかを決めることです。もちろん「値幅」には利食い幅/損切り幅の2つを決めます。
更には、シナリオやトレード戦略は1パターンのみでは予測が外れることが多いので、複数パターン用意します。その中の相場に当てはまるパターンを採用&適宜微修正し、いよいよトリガ足を使ってトレード準備に入ります。
基本的には環境認識用チャートは1つでも構いません。増やすほど情報過多になり、思考が発散してトレードそのものができなくなりがちなので、まずは1つに絞って分析を始めましょう。その後慣れてきたら、より精度を高めたいとかのニーズに合わせて増やすようにしていきましょう。

トレード用チャート(トリガ足)

エントリー・イグジット用のチャートです。私は主に5分足を使っています。
トレード戦略(「方向」と「値幅」)は既に環境認識足で決めているので、5分足は主にエントリー・イグジットのタイミングを計るためだけに使用します。

相場理論・法則

概要

FX相場には色々な相場理論があります。相場理論とは、チャート(値動き)の規則性を法則化したものです。
基本的にチャートの値動きはランダムなので予測不能と言われていますが、値動きは世界中のトレーダーの心理によって決まります。つまり、多くのトレーダーが意識している理論(規則性)があれば、そこに売買が集中し、その規則性のとおりに相場が形成されることが多々あるのです。

相場理論や法則により、我々トレーダーは以下を知ることができます。

・トレンド(相場の方向性)
・トレンドの継続性、現在位置
・トレンド転換ポイント

我々トレーダーは、この理論(規則性)を上手く利用することで利益につなげます。これらの情報を得ることで、売買ポイント(トレード範囲や利食い・損切り幅)を決めることができます。ただし、相場は常に理論のとおりに動いているわけではなく、あくまで可能性がある(確率が高い)ということです。聖杯のように信じ込みすぎると痛い目に遭いますので要注意です。

有名な理論をいくつか紹介します。詳細については別の記事で説明します。

ダウ理論

ダウ理論は最もメジャーな相場理論です。
前回の投稿で説明した「上昇トレンド・下降トレンド」もダウ理論の法則の1つです。
昔々の19世紀頃?にアメリカのダウさんが考えた株式市場用の理論で、相場のトレンドについて6つの法則を定義しています。

1.平均価格は全ての事象を織り込
2.トレンドは3種類ある
3.トレンドは3段階ある
4.平均は相互に確認される
5.トレンドは出来高でも確認できる
6.トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する

FXではこれら6つの法則のうち、4つ(1~3、6)が使えます。
特に「6.トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」は世界中のトレーダーが意識している法則です。
「環境認識」と「トリガ」のどちらにも使えます。

下図はダウ理論法則6の上昇/下降トレンドの発生タイミングです。
上昇トレンドでは、多数のトレーダーが下図左の高値1、安値2の切り上げ確定ポイントでトレンド確定と認識し、ロングエントリーしてきます。
下降トレンドでは、多数のトレーダーが下図右の安値1、高値2の切り下げ確定ポイントでトレンド確定と認識し、ショートエントリーしてきます。
トレンドの発生時は、多数のトレーダーが同じタイミングでトレンド確定と判断するため、同じ方向の取引量が増えるため、一気に値動きが活発になる傾向があります。

下図はダウ理論法則6の上昇/下降トレンドの終了タイミングです。
トレンドの終了は、実は人によって解釈が異なるため、終了タイミングの認識は2つに分散される傾向にあります。

<パターン1>
安値4ラインを安値とみなすパターン。この場合はレートが直近安値(安値4ライン)を割ったタイミングがトレンド終了と判断します。

<パターン2>
安値4ラインを安値とみなさないパターン。上昇トレンド中の安値確定は、直近高値を超えたタイミングと考えると、安値4は直近高値を超えていないため安値とみなさず、安値4を割ったタイミングではまだトレンド継続中と判断します。直近安値は安値3ラインとなり、このラインを割るタイミングがトレンド終了と判断します。

どちらが正解かを突き詰めるのは経済学者ならば有意義でしょうが、トレーダーにとっては不毛です。トレーダーにとっての正解は「機能した方」「トレード戦略次第」としか言いようがありません。

決められた値幅の中で最大限の利益を確保するならば前者(パターン1)が正解ですし、より多くの利益幅を狙うなら安値割れラインがより深く、次のトレンド発生まで耐える確率が上がる後者(パターン2)が正解となります。要は勝率を優先するか、利益率を優先するかのトレードオフです。トータルで利益が出るならどちらも正解、損失が膨らむならどちらも不正解ってところですw

エリオット波動理論

エリオット波動理論もダウ理論と同様にメジャーな理論です。
アメリカのエリオットさんが定義しました。これまた株式市場用の理論ですが、FXでも使える理論です。
「環境認識」と「トリガ」のどちらにも使えます。

エリオット波動理論の凄いところは、相場心理を反映したことにあります。
相場心理はチャートの先にいるトレーダー(人)の思考や感情によって生まれますので、それを理論化しちゃうってすごくないですか?
メンタリストや臨床心理士、手品師、ギャンブラーとしても飯食えますぜ、エリオットさんw
(エリオット波動と相場心理の関係性については別の記事で説明します。)

さて、本題です。

エリオット波動は「推進5波・修正3波」が1つのサイクルとして形成されます。

・上昇トレンド:5つの波で上昇(推進)し、3つの波で下降(修正)します。
・下降トレンド:3つの波で下降(推進)し、3つの波で上昇(修正)します。

図にすると以下のとおりです(上昇トレンドの例)。

この波動理論を環境認識やトリガに用いることで、レートが伸びやすい推進波(特に3波)を狙い撃ちすることができます。

グランビルの法則

グランビルの法則は、インジケータ(後述)の移動平均線を利用した法則です。
レートはこの移動平均線に対し、近づいたり離れたりを繰り返します。グランビルの法則はこの特徴を利用した8つの売買ポイントを定義しています。
「環境認識」と「トリガ」のどちらにも使えます。

他の理論や・法則にはない「売買ポイント」が明確なのが嬉しいところです。
8つの売買ポイントのうち、順張りポイント&かつ値が伸びやすいポイント(MAの傾きが拡大するポイント)だけに絞ると利益につながりやすいと思います。
初心者の頃はエントリーポイントって何?(どこでエントリーすればよいの?)って感じだったので、グランビルの法則がとてもありがたかったです。

ですが、個人的にはリアルマネーでトレードしたことがない法則です。検証止まりで当時は勝ち筋が見えずに断念しました(泣)。
移動平均線(MA)は環境認識として相場の方向性の確認のために使っていますが、グランビルの法則(売買ポイント)としては意識していません。結果的にグランビルの法則トレードになることは多々ありますがw
なので図解は省略しますw

サイクル理論

これまでの理論は「レート(値動き)」に重きを置いた理論でしたが、サイクル理論は「時間(周期性)」に重きを置いています。
「環境認識」と「トリガ」のどちらにも使えますが、どちらかというと「環境認識」がメインで、「トリガ」としては「時間軸」だけだと抜きに行く値幅が分かりにくく根拠が弱いです。

相場の「波」には規則性(周期性)があり、トレンドの開始タイミングなどの時間的な予測が可能です。

理論として色々な時間的法則について定義していますが、正直知らなくても問題ないです。
「波には周期性がある」ことだけを知っておけばOKです。
実際にチャート上で、トレンド発生時の1サイクルの波を縦線で区切ってみると、その周期性に気づけると思います。なぜ周期性があるのか、その根拠を考えると結構楽しいですし、時間的な戦略アイデアも思いついたりします。1時間足で周期性を見てみると、各国の為替市場の開場時間との関係性も確認できます。ぜひお試しあれ。

その他理論・法則

その他にも理論はたくさんあります。基本的にはレート(値動き)に関する理論が多いです。

・フィボナッチ数列
・限界運動量
・値幅観測論

などが代表格でしょうか?どれも過去の値動きから今後の値幅を予測できる理論・法則です。
「環境認識」と「トリガ」のどちらにも使えますが、どちらかというと「トリガ」よりでしょうか。

フィボナッチや限界運動量は、取引ツールに表示させる機能が標準で搭載していることが多いので、簡単に分析することができます。特にフィボナッチは世界中の多くのトレーダーが使っている理論(機能)なので、ほんとよく効きます。
私もフィボナッチはよく使います。

詳細は省略しますので、興味がある方は別途調べてみてください。
詳細説明やトレードでの活かし方についてご要望が多い場合は別途記事にしますw

ランダムウォーク理論

ランダムウォーク理論は、ざっくりいうと「相場の値動きはランダムだから相場予測なんて無理ゲー」という理論です。(ちゃんと統計学的に証明しているようです。)

ここまで色々な相場理論を説明しておいてなんですがw
ラピュタ的に表現するならば「バルス」でしょうか。

とはいえ、だから相場で勝つことを諦めようという結論で結んだ理論ではありません。
ランダム(予測不能)でもなんとか利益を生むために、予測不能なことを前提として「ある一定の範囲内に収まる確率」を統計学から数式化した理論です。人間とはとことん強欲な生き物ですね~w

この理論から作られたテクニカル指標を「ボリンジャーバンド」と言い、多くのトレーダーが利用しています。
取引ツールにも標準で搭載されていることが多いです(チャート表示は任意選択)。

また、「相場の値動きはランダムだから相場予測なんて無理ゲー」とは言いましたが、これは相場予測を100%当てるという意味で、俗にいう「聖杯探し」は無駄という意味です。

実際には、100%予測は無理でも一定期間だけは予測可能な「傾向(トレンド)」は多々発生しています。なぜなら相場を動かしているのはチャートの先にいる人間(最近はAIも?)だからです。
みんなが認識しやすいチャート波形ができそうなときは、それに期待して多くのトレーダーがエントリーしてきます。みんな利益ウハウハのお祭り相場が好きですからw
それでトレンドが出たら、その後もどんどんトレーダーが参加してきて、トレンドが更に続きます。

これが「一定期間だけは予測可能」のからくりです。
大切なのは、「予測のとおり値動きする可能性がある相場」を見つけ、そこだけでトレードすることです。

「高勝率」または「大きな値幅」を狙えるポイントだけでトレードしていれば、勝ったり負けたりを繰り返しているうちにいつの間にかトータルで利益が出ている。これが勝ち組トレーダーのやり方です。